ひまわりのたね通信

放射能(放射線)に思う事

 診療放射線技師の国家免許を持っている私とすると、放射能(放射線)は便利なもので、私達の暮らしには欠かせないものとであると共に、使い方を間違えると大変危険な代物であり、と同時に人間の五感では感じる事が出来ない不思議なものであるということです。
 まさか福島第一原発のような事故は予想していませんでしたし、日本の原発の安全神話を信じていた一人でした。

 30年前には放射線生物学、放射線物理学、放射化学、医用工学、放射線計測学、核医学検査技術学、放射線治療技術学、放射線安全管理学などを学び国家試験に備えていた事を思いだします。

 これ等の学習は、大垣市民病院放射線科で働くこととなり、特殊放射線室の核医学検査で大いに役立つこととなりますが、この時も放射能に対する危険という意識は低く、着用が義務付けられているフィルムバッチ(X、γ、β、熱中性子の被ばく量を測定する器具)はいつも高い数値を示し、科長から「業務停止するぞ」といつも叱られていた記憶があります。

 医学や工業の分野では欠かせない存在の放射性同位元素と放射線の利用法は、私の経験した専門的な核医学検査で紹介すると・・・・・

 放射免疫測定にて、放射性同位元素を利用し微量の抗原の量を測定することに使われています。・・・・B型肝炎ウイルス測定では、肝炎ウイルスの抗体をつけた丸いビーズを血清内に入れ、一定の時間後それを洗浄し、次に放射性同位元素でマーキングした抗体が入った液に数時間浸し、洗浄した後、測定器で放射能を測定し、数値が高ければ陽性と判断する方法です(サンドイッチ法)。

 今話題のヨウ素を使った検査では、・・・・・甲状腺は甲状腺ホルモンを合成、分泌していますが、甲状腺ホルモンにはヨウ素が含まれているため、甲状腺は血液中からヨウ素を選択的に取り込む働きがあります。
 ヨウ素の同位元素でガンマ線を放出する123Iを超微量投与すると普通のヨウ素と同様に取り込まれるので、それから放出されるガンマ線をガンマカメラで測定しシンチグラムとして画像化して、甲状腺の大きさ、形態、局所機能などを診断するもので、立体的にみたり、CTのように輪切りにすることも可能です。腫瘍などの病変が存在するとその部分にはヨウ素はとりこまれずガンマ線を計測できないので白く抜けて見えます。

 このようにいろんなところで役立っている放射性同位元素ですが、今回の事故では多くの方が、その存在は身近なものではない上、得体のしれない恐怖心の方が先にきて、不安が積み重なっているのが現状です。
 過剰な反応をすることはありませんが、目に見えない感じる事が出来ない厄介なものである以上、自己防衛策は取っておくほうがよいのではないかと思います。

 以前私たちはレントゲン(R)という単位で放射線の総量を表していましたが、現在ではグレイ(G)、シーベルト(Sv)、ラド、レムなど放射線のエネルギーの総量や人体が吸収した放射線の影響度を数値化した単位など、国民が理解しがたい単位が横行している現状を、マスコミは整理、統一する必要があるのではないでしょうか。震災の呼称が「東日本大震災」にやっと統一されたように・・・・・・(それにしても、地震の呼称を決めるのにどれだけの時間を使っているのか解っているのか?政府・行政は機能しているのか心配になりますね!)

  

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