可児市が「災害廃棄物の広域処理」について、平成24年3月30日付けで国(環境省)へ提出していた質問状の回答が届きました。
地方自治体が広域処理したくても、その詳細が不透明のままではなかなか踏み切れない現状があります。処理を急いでいるにしては、その回答も遅く本気度が疑われます。また、その内容も明確な回答を避けているようで理解に苦しむものとなっています。まして、宮城県から持ち帰った圧縮混合廃棄物から240Bq/kgの上限ギリギリのセシウムの放射線濃度が検出された現状を考えると、広域処理は厳しい状況です。併せて最終処分場を持たない可児市では、その可能性はさらに低くなります。
以下は回答内容全文です。
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質問1: 今回の災害廃棄物は放射能汚染の事実が判明しているにもかかわらず、約400万tを広域処理とするのはなぜですか。国において追加の施設を建設するお考えはないですか。
回答 被災地で処理することが原則であり仮設焼却炉等を設置して処理に努めていますが、3年での復旧復興のためには、それでも処理能力が不足するので、その分を広域処理でお願いするものです。また、仮設焼却炉を数年間延長運転すれば県内処理も可能ですが、最終処分については長い年月をかけて処分場を新たに整備しない限り県内で処理しきれません。
質問2: 岐阜県は震災復興支援を岩手県で行うように割振りされています。今回の災害廃棄物の受け入れは宮城県ということですが、何故、宮城県なのですか。全国の割振りはどのようにされているのですか。
回答 災害廃棄物の広域処理については各自治体で受入れ可能な種類・量を示していただければ環境省が搬出自治体とマッチングを行います。なお、すでに広域処理の受け入れを表明した自治体に対してマッチングを進めた結果、今後は、宮城県の災害廃棄物を中心にマッチングを行っていく予定です。
質問3: 災害廃棄物の腐敗による火災等の心配があるということで、国は広域処理を急いでいるようですが、最終の処理期限をいつに設定しているのですか。
回答 東日本大震災復興対策本部がとりまとめた工程表(平成23年11月)において平成26年3月末を目標としています。
質問4: バグフィルターにより、排ガス中の放射性セシウムをほぼ100パーセント除去できると言われますが、この最後の砦的な部分で食い止めないと大気中に放出されてしまい、取り返しがつかなくなります。追加の対策は必要ないのでしょうか。微量のセシウムでも排ガス口から放出され、それが長期に亘った場合の影響が心配です。
また、焼却施設自体が放射能対策を施したものではなく、この装置以外の施設自体からの放射能漏れも懸念されます。さらに、バグフィルターや焼却炉に放射性セシウムが付着し、汚染されないのでしょうか。もし、そうなった場合、国の責任において除染していただけるのでしょうか。
回答 広域処理の対象となる廃棄物は元々低濃度または不検出であることに加え、逆噴射により定期的に放射性物質を含むばいじんを落としているため、フィルターに残る放射性セシウムが高濃度になることは考えにくいです(万が一8000Bq/kgを超えた場合には、指定廃棄物として国が責任を持って処理します)。
このため、原則として通常の維持管理で問題ないため、広域処理の受け入れにより、受入施設におけるバグフィルターのろ布等の交換時において新たな負担を強いることはないです。
なお、廃棄物に含まれる放射性セシウム濃度が高く、広域処理の対象とはならない汚染廃棄物を焼却している施設においてさえ、排ガス中の放射性セシウムの放射能濃度はほとんどの施設で不検出となっており、検出された場合でもきわめて微量であり人体の健康に対する影響は無視できる範囲です。
質問5: 20%以内の混焼を指導されていますが、全く問題がなければ混焼など必要がないと思います。危険があるから混焼を勧められるのではないでしょうか。また、混焼となれば、仮置き場は必要となりますが、国の責任において確保していただけるのでしょうか。
回答 災害廃棄物の広域処理については、処理の方法や受入れ基準などに関してこれまでガイドラインとして示してきたものについて、今般、平成24年4月17日に環境省告示として、改めて考え方を整理して提示したところですが、処理に当たっては、特に混焼を勧めたり、その割合を指導しているわけではありません。しかしながら、実際に処理を進める際には、受入れ側の焼却施設の余力の範囲で焼却いただくことになるため、混焼になるのが通例です。また、混焼の割合は、受入れ施設の状況に応じて設定することになります。
質問6: 本市の焼却施設においては、覆土を繰り返しながらスラグを埋め立てる余剰地がなく、全く別の場所で別の方法で処理しなければなりませんが、国において最終処分場を確保していただけるのでしょうか。
また、飛灰については、現在県外へ持ち出し、最終処分をお願いしています。もしこれも断られるとなれば、お手上げ状態となってしまいます。基準値を超えた飛灰が出た場合も想定して、国が責任を持って説得にあたったり、あるいは同様に最終処分場を確保していただけるのでしょうか。
回答 焼却後の灰の埋立処分について、新たな処分場を整備するには、関係者の理解を得ることや建設等に時間を要するため、災害廃棄物の処理の迅速化にご協力いただくべくお願いしている広域処理は、既存の処理施設での受入れをお願いするもので、新たにこのための施設を整備することは想定していません。なお、最終処分場の確保について、国がこれを特定の地方公共団体や業者に強制や指定をすることはできませんが、環境省としては、個別の地方自治体等に対して、科学的知見をもとに、安全に処分できることを誠意をもって十分説明するなど、最終処分場等における焼却灰の受入れが円滑に進むよう、努めていきます。また、広域処理の対象としている災害廃棄物の放射能濃度は不検出又は微量であり、焼却灰として濃縮しても8,000Bq/?を超えることは考えられません。なお、放射性物質汚染対処特措法においては、8,000Bq/?を超えた場合は、指定廃棄物に指定し、国が責任をもって処理することとされております。
質問7: 8,000ベクレルの基準を安全だと言える根拠は示していただきましたが、安全性について、市民の将来に向けても絶対安全であると言い切れるのでしょうか。
埋め立てた主灰や飛灰の放射性物質が将来地下水に溶け出したり、災害等でむき出しになったりして、地域住民が危険にさらされることもあり得ます。将来に向けて極めて不安が残ると思いますが、いかがお考えでしょうか。
回答 8000㏃/kg以下の焼却灰であれば埋め立て後の周辺住民の被ばく線量は0.01mSv/年以下であり、人の健康に対する影響が無視できる線量です。
また、追加的措置なく管理型最終処分場で埋立可能ですが、より安定した状態での埋立として、
・焼却灰等と水がなるべく接触しないように、水がたまりやすい場所での埋立は行わない等の対策。
・放射性セシウムの土壌吸着性を考慮して土壌の層の上に焼却灰を埋立。
等の措置をお願いしています。
災害等でむき出しになった場合においても、早急に復旧等を行えば環境に対する影響は問題のない範囲です。
質問8: 国が責任を持って全ての財政負担をすると言いながら、本来地方の財源であり、特定財源ではない普通交付税で対応するともとれる回答がありましたが、全く説明になっていません。従来から何度も繰り返してきた国の無責任な対応ではなく、その言葉通り、国が責任を持って全ての財政負担をするという対応をお願いします。
回答 東日本大震災により発生した災害廃棄物の広域処理は、被災地側の災害廃棄物処理事業として実施されるため、その費用は被災自治体が負担します。被災自治体に対する国庫補助等により、実質的には国が全額負担します。
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