移住する人たちの気持ちが理解できた今回の視察、半月経ってもその記憶は鮮明です。また、是非一度訪れたい離島のまち海士町。次行く時は長期休暇を取ってプライベートで1週間ほど滞在し、島の隅々まで見て回り、いろんな方と話をしてみたいと思います。
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海士町に関する考察
海士町へは可児を出発して名鉄、新幹線、伯備線、境港線、最後にフェリーで3時間かけ計約11時間の行程で、夕方5時過ぎに海士町の菱浦港に到着した。奇跡の島と呼ばれる辺鄙な離島で、その昔奈良時代から遠流の島として、ご配流の身となられた後鳥羽上皇は在島19年余この島で生涯を終えた。海士町は島根半島沖合約60?に浮かぶ隠岐諸島四つの有人島の一つ中の島を海士町といい、面積33.52K?、周囲89.1Kmの小さな島だ。
急激な人口減少により「離島が無人島になってしまう」「島から高校が無くなってしまう」という危機感から、島民の自覚と生き残りのための戦略を立てて現在に至り、島外からの留学生の受入れ、公設の塾の経営、島ブランドの作成など「ないものはない 海士町」をキーワードとして、知恵を絞り今もなお努力を続けている。なかでも島前高校魅力化プロジェクトでは、全国から生徒が集まる学校、地域づくりを行い。廃校寸前まで行った学校が今では各学年2クラス体制となり、島外受験者の倍率も大幅にアップしている。平成22年度の卒業生は約3割が国公立大学に合格、その後早稲田大学や慶応大学に合格する島内生徒が現れるなど、大きな成果をあげている。今回の視察では、「民から官へ」ということで設置された隠岐國学習センター(公営塾)を中心に視察を行い、Iターンの島外出身者が本気になって離島の未来を考えて行動している姿に感動した。大人が本気になれば子どもたちもそれに応えてくれることを目の当たりにし、大きな刺激を受けて帰ってきた。
昭和25年ごろは7,000人いた人口は平成22年で2,374人に激減し、世帯数は1,052.高齢化率は39%で高校卒業後はほとんどが島外へ流出し、20代30代の活力人口が低く、生まれる子どもも10人前後。平成14年の町長選挙で山内町長が当選し、職員の意識改革をはじめ様々な改革が進んでいった。大幅な給料カットは勿論のこと積極的な行財政改革、生き残るための施策として島ブランドの育成・販売。新規起業の支援など役場をあげて取り組んだ。その結果7社が起業、5つの個人・グループ事業が始まった。そして島を視察に訪れた団体数は平成24年で142団体、1,384人と島の経済にも大きく貢献している。
「まちづくりは人づくり」を掲げ、都市との交流、国際交流を積極的に進めるとともに、小さな島で日本一の教育を掲げ、高校と家庭、地域、島外が大連携し一貫した人間力育成を目指し、保・小・中・高の連携教育、環境教育の展開、島まるごと図書館構想の推進、島前高校魅力化プロジェクトとして「全国からも生徒が集まる地域×学校づくりを行い、現在では海外からも留学生を受け入れることに成功している。
地域に未来への希望を与えた海士町の取組みは、よそ者こそ活性化の原動力と考える町長の姿勢と、それを受け入れる町民、その期待に応えようとするIターンの新町民が一丸となって取組み姿には微塵の影も感じることは無かった。
今回の視察で特に注目したところはやはり「島前高校魅力化プロジェクト」だ。島内だけでは生徒の確保が難しいことから、島外からの留学生として生徒を受入れ、独自の教育を行い進学し、一部の生徒がUターンしてくる仕組みを作った。島前高校では新たに実践的なまちづくりや商品開発などを通して地域づくりを担うリーダー育成を目指す「地域創造コース」と少人数指導で難関大学にも進学できる特別進学コースを設置し、学校と連携する公営塾「隠岐國学習センター」を創設し、社会教育を含めて独自のプログラムを実践し、島内と島外の子どもたちが互いに意識しあい、切磋琢磨し刺激を与え合うことで従前では体験することが出来ない経験を積むことが出来ている。
可児市においても地域解決型キャリア教育を市議会が全面支援し今日に至っているが、そこに足りないものは、本気で自分たちの地域の未来を開拓していこうとする大人の繋がりや、交流が不足していることである。役所は住民総合サービス株式会社であるというイメージを職員が共有すること、外部からの刺激により地域住民が化学反応を起こすこと、次の世代に対し豊かな明るい未来を残すことに失敗したという自覚を持ち、大人自らが変化し世代を超えた住民がふれあい、繋がることのできるフィールドを作って行くことが必要である。よって可児市議会として、各種団体、企業などとの懇談会を頻繁に開催するとともに、市民への議会報告会を市民からの意見を聴取する重要な場と捉え、また多くの課題を解決していく場としても活用していく必要がある。人口規模は大きくことなるが、離島の挑戦は可児市にとっても大いに参考になる事例であった。
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フェリー乗り場「ないものはない」ポスター
観光協会で島の概要説明
一般道に隠岐牛が闊歩
島前高校に野球部が復活、グランドの奥は生徒の寮です
美しい海(島北部)
島の夕日
島の朝日
夢ゼミで今日の講評
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本土と島を結ぶフェリー
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