中邨章氏は議会改革は拡大しているが、地方議会のイメージは低迷しているとの見解、その理由の一つとして、おさまらない地方議員の不祥事があげられる。また、議会基本条例は爆発的に広がったが、機能しているかどうかは別の問題である。議会審議内容の不透明化を改善し、議会報告会や議会だより、ICT化により市民に分かりやすい議会運営が必要だ。議会報酬も低くこれでは若い人は議員になりたがらない。可児市議会ではこれらの問題を解決すべく、様々な取組みを行っているが、議会アンケートの結果にもあるように、市民の理解度は必ずしも高くない。今後は今までの改革の流れを検証すると同時に、全ての事業運営を見直す必要がある。
東京大学名誉教授の神野氏は「国民国家の権限と地方分権」について講演した。ワイマール共和国の生存権をモデルに社会保障を考え、地方交付税という財政調整制度は健全な地方社会を構築するために必要なものだ。ヨーロッパの難民問題やギリシャ問題は、ヨーロッパの社会モデルが崩れる可能性がある。地方自治体では所得の再配分は出来ないため、国境を管理する国の役目となっている。中央政府の現金給付による所得再分配の限界を、現物給付(サービス給付)による生活保障で補強する動きが出てくる。現物給付(福祉、教育、医療)は地方自治体にしか提供できない。財政には3つの機能がある。所得再分配機能、経済安定化機能は地方自治体では担えないとされてきた。しかし、ボーダレス化、グローバル化に伴い、準私的財といえる現物給付を提供することによって分担せざるをえなくなった。これが地方分権改革推進の歴史的意義だ。
環境省大臣官房審議官の中井氏は、低炭素・資源循環・自然共生を束にした統合的な環境政策として、環境と生命・暮らしを第一義とする文明論的時代認識と真に持続可能な循環共生型の社寄贈を追及し、環境と生命文明社会の創造をビジョンとした。異常気象による甚大な災害、温室効果ガス2050年80%削減と直面する経済・社会的課題の同時可決をめざし、社会構造のイノベーションを行う。グリーン新市場の創造、環境価値をてことした経済の高付加価値化で経済を発展させる。再生エネルギーなど地域の自然資本の活用でエネルギー収支の黒字化を図り地方創生を後押し。気候安全保障の強化と国益の確保が必要だ。
村木厚子氏は福祉全般について、少子化と人口減少社会のなかで、今後の社会保障の現実について、もらいたいけど払いたくない国民と配りたいけど集めたくない政治家の社会、これが最低な組合せで、政治と国民の責任は大きい。産みたいけど産み育てられない環境の改善、社会保障と消費税の関係を明確にすること、「社会保障の充実と安定化」と「財政健全化目標の達成」を同時に達成しなくてはならない。そのためには消費税をはじめとする税制抜本改革で安定財源を確保することが必要。2025年をめどに地域包括ケアシステムを構築すること、子どものための教育・保育給付が必要であり、地域子育て拠点事業や一時預かり事業、乳児家庭訪問、延長保育、放課後児童クラブの充実が望まれる。またこれらの事業には市町村を核とした支援体制の充実強化が必要である。今回の研修を通じて絶対的に人口が減少し続ける社会において高齢者対策も重要なことだが、結婚や出産、子育てをめぐる国民の希望と現実が乖離している現状をどう改善していくかが最重要課題であると認識した。国・都道府県・市町村の連携不足や認識不足により出生数は減り続けている。若い世代を含めた子育て世代の希望が叶う地域社会のシステム作りを早急に進める必要があると強く認識した。
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