ひまわりのたね通信

伊丹市視察報告

伊丹市安全・安心見守りネットワーク事業~日本一安全・安心なまち~

伊丹市は人口198,076人、面積25.09㎢の兵庫県南部の都市である。空港のあるまち、清酒発祥の地、高度差がない、コンパクトであるなど特徴があるが、都市ブランドが弱い。大阪国際空港があるため大阪府と間違いられがちで、伊丹市の知名度を上げることで人口減少を食い止めるために「さらなる安全・安心を実現するまち」を一番の目標に置き、市全体のセキュリティーを高め「選ばれるまち」を目指し、県内でも比較的高い街頭犯罪・侵入犯罪認知件数を下げるため、安全・安心見守りカメラ1000台の設置検討を始めた。カメラを行政が設置すると訴訟の原因になるため全国的には低調であるこの事業を進めるため、市長自らが小学校区をまわり地域に設置を投げかけ意見を聞いた。その結果97.8%の市民が設置を希望し反対はゼロだった。その背景には神戸や紀の川市などでの児童に対する凶悪犯罪の発生があったものと思われる。結果、議会は全会一致で賛成しこの事業が始まった。警察は予算が無いことや当局の監視に繋がることからカメラ設置は困難な状況であったため、行政が設置することの意義は大きかった。市と県警、地域で設置個所を決め、県警と協定を締結した。
ビーコンを活用した見守りシステムと今後認知症高齢者の顔認証システムなど、新たな社会インフラに対する期待は大きい。また、企業と協定を結び阪急・阪神沿線価値向上を図り顧客の確保にも繋げていく。
スマートフォンを利用した高齢者の見守りや市職員や民生委員などの登録ボランティアによる協力要請機能を充実させることで、見守りカメラとボランティアアプリを使ったセキュリティー強化に繋がっている。ビーコンを使った「まちなかミマモルメ」の申込件数は小学生10,891人中25,66人で1年生は52%が加入、高学年になるほど加入率は低下する傾向にある。
安全・安心ネットワークの活用件数は29年度で734件3,160台のカメラの情報を提供している。ネットワークの効果は街頭犯罪認知件数平成26年と比較して40.2%も減少している。市民意識調査でも良好な結果が出ている。
このネットワークのイニシャルコストは総額で3億9千5百万円、ランニングコストは2千6百万円となる。今後は自治体間や民間主導による広域化を目指し負担の少ない方法を模索するとしている。自転車盗難への対応の社会実験や民間を活用した自販機センサーの設置、AIによる画像解析と注意呼びかけなどを検討していく。
プライバシーの保護や権力からの監視という面でハードルがあることと、初期投資が高額であること、カメラの更新時の諸問題など課題は多いが、今後、自体で取組みが広がる可能性があることを認識した。都市部以外では面積や人口密度など検討を要するが、調査研究しその時のための準備を進める必要があると感じた。設置するかどうかは今後の調査研究の結果次第であろう。伊丹市の周辺都市の街頭犯罪認知件数や市境界に住む市民に対する配慮も課題の一つだと考える。

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