ひまわりのたね通信

政治倫理規定(条例)の行へは

 議会基本条例特別委員会の1年7カ月にわたる委員会活動は、基本条例を制定し関連規則の整備見直し、運用基準、ルール集の作成、議会報告会の開催と、その役割と使命を無事果たすことができました。

 残念なことは、基本条例の15条で規定した政治倫理に関する規定が制定に至らなかったことです。その理由は副委員長から出された第1案について異論が出たため、対案を出すように指示したところ、その内容に大きな差があり議論を進めてもどこまでも平行線となり、委員会内での政治倫理規定(条例)の制定は困難と判断しました。今後は早急に何らかの形で制定する必要があります。

 この件に関して委員長である私と副委員長は第1案を少々改正し、議員発委で条例案として議案上程する準備をしていましたが、少し様子をみるために今議会での提出は見送りました。このまま進展する様子がなければ6月議会で議案上程することとなります。

 第1案に対し疑義を唱える議員は「議員は選挙で選ばれているので、倫理規定は必要ない」「審査会の設置は必要ない」「措置が細かい」「兼業禁止について議論が足らない」などで、議論が足らない部分あるのは認めますが、そもそも基本条例に倫理に関する条文を入れると言い出したのは委員の皆さんであり、委員長の私としては、政治倫理は条例として別の組織でしっかり議論して定めるべきの考えがあったので、渋々15条に入れた経緯があり委員長として納得いかない部分もありますが、倫理に関する考えの隔たりは大きいようです。

議会基本条例の第15条は以下の通り。
「第15条議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を自覚し、良心及び責任感を持って、議員の品位を保持し、見識を高めなければならない。
2 政治倫理に関し必要な事項は別に定める。」

以下正副委員長第1案の最終案

平成25年3月22日議会運営委員会NO.◎
○可児市議会議員政治倫理条例(発案)
(平成 年 月 日 可児市議会条例第○○号)

(目的)
第1条 この条例は、可児市議会基本条例第15条に基づき、市議会議員(以下「議員」という。)が、市民全体の代表者として誠実かつ公正に職務を遂行し、人格と倫理の向上に努めるとともに、その権限又は地位による影響力を不正に行使して、自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な事項を定めることにより、議員の政治倫理の確立を図り、もって公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は、市民全体の代表者としての権限と責任を深く自覚し、法令及び条例を遵守するとともに、市民の信頼に値する高い倫理性を保たなければならない。
2 議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときには、自らの責任において事実関係を明らかにしなければならない。
(政治倫理基準)
第3条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として、名誉と品位を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 地位を利用した不正の疑惑を持たれるおそれのある金品を授受しないこと。
(3) 市が行う許可、認可等の行政処分(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)の指定を含む。)又は補助金等の交付の決定に関し、特定の企業、団体等のために有利となるような働きかけをしないこと。
(4) 市並びに市が設立した公社、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資している法人及び指定管理者(以下「市等」という。)が行う工事等の請負契約、当該請負契約の下請契約、業務委託契約及び物品納入契約(以下「請負契約等」という。)に関し、特定の業者のために推薦、紹介する等の有利となるような働きかけをしないこと。
(5) 市等の職員の採用、昇任、異動等の人事に関して、推薦、紹介等の働きかけをしないこと。
(6) 市等の職員の公正な職務の執行を妨げ、又はその権限を不正行使するように嫌がらせ、恫(どう)喝、強要その他の働きかけをしないこと。
(7) 公人としての発言又は情報発信は、確たる事実に基づいて行うこととし、虚偽の事実を摘示することによって他人の名誉を毀損すること及び人権侵害のおそれのある行為をしないこと。
(8) 前各号に掲げるもののほか、職務上知り得た情報は、自己又は特定の者の利益を図る目的のために使用しないこと。
(団体役員等の辞退)
第4条 議員は、市から補助金等の交付を受ける法人その他の団体の代表になってはならない。
2 市及び広域により設置する委員会等への委員就任は、議会運営の公正を図るため、法律及び条例(以下「法律等」という。)の定めがある場合を除き、辞退しなければならない。
  なお、法律等により委員就任をした場合であっても委員長職等の職には就任しないものとする。
(審査請求)
第5条 議員は、議員が第3条及び第4条の規定に違反する疑いがあると認めるときは、議員2名以上の連署をもって、その代表者(以下「審査請求代表者」という。)が議長に対し、これを証する資料を添えて、審査の請求をすることができる。
2 議長は、前項の規定により審査の請求があったときは、可児市議会議員倫理審査会(以下「審査会」という。)の設置の可否について、議会運営委員会に諮るものとする。この場合、委員定数の過半数が出席し、3分の2以上の設置の賛成があるときは、設置しなければならない。
(審査会の設置等)
第6条 議長は、前条の規定により審査会設置の決定がされたときは、速やかに設置しなければならない。
2 審査会は、当該審査が終了するまで存続する。
3 審査会は、副議長及び議会運営委員会委員で組織する。
なお、必要に応じて学識経験者等の意見を聞くことができる。
4 審査会に会長及び副会長を置く。
なお、会長には、副議長を、副会長には議会運営委員長をもって充てる。
5 審査会の委員(以下「委員」という)の任期は当該審査が終了するまでとする。ただし、議員の資格を失ったときはその任期を終了し、委員が審査対象となったときは委員の資格を失う。
6 会長は、審査会を代表し、会務を総理する。
7 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。なお、会長、副会長に事故あるとき又は会長、副会長が欠けたときは、委員の互選により会長代理及び副会長代理を選任する。
8 委員は、その職務を遂行するに当たっては、公正不偏の立場で審査しなければならない。
(審査会の職務)
第7条 審査会の会議は、会長が招集する。
2 審査会の会議は、委員の3分の2以上の者が出席しなければこれを開くことができない。
3 審査会は、審査の対象となった議員(以下「審査対象議員」という。)につき、第3条及び第4条の規定に違反し、委員会委員の辞任、役職の辞任、又は議員辞職及び出席停止の勧告、議会全員協議会での陳謝、この条例を遵守させるための警告及び注意喚起、その他の措置を審査の結果に明記しようとするときは、出席委員の4分の3以上の同意を要するものとする。
4 審査会は、審査のために必要があると認めるときは、審査対象議員、審査請求をした者、識見を有する者等に対し、その出席を求め、意見若しくは事情を聴取し、又は報告を求めることができる。
5 審査会は、審査対象議員が審査会に出席して又は書面による説明ができる機会を設けなければならない。
6 審査会の会議は、公開とする。ただし、出席委員の4分の3以上の多数で議決したときは、これを非公開とすることができる。
(議員の協力義務)
第8条 審査対象議員は、審査会から審査に必要な資料の提出、審査会への出席その他の調査への協力を求められたときは、これに従わなければならない。
(虚偽説明等の公表)
第9条 審査会は、審査対象議員が前条に規定する調査に必要な協力をしなかったとき、又は審査会に虚偽の報告をしたときは、その旨を公表することができる。この場合において、審査会は、審査対象議員に対し、あらかじめ弁明の機会を与えなければならない。
(審査結果の報告)
第10条 審査会は、設置された日から60日以内に、審査を終え、議長に対してその結果を文書で報告しなければならない。
2 議長は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに当該報告に係る文書の写しを審査請求代表者及び審査対象議員に送付する。

(審査結果の尊重)
第11条 議長は、審査会の審査結果の報告に基づき、第3条、第4条に違反している旨の指摘がなされたときはこれを尊重し、市民の信頼を回復するために、議会運営委員会の委員の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の同意を得たうえ、次の第2項及び第3項のいずれかの措置を講ずるものとする。  
2 議長によって行う措置
  (1) 審査対象議員に政治倫理基準等を遵守させるための警告及び注意喚起
(2)第4条第1項及び第2項に定める役職及び委員の辞任勧告
(3)第4条第2項に定める委員長職等の辞任勧告
(4)議会全員協議会での陳謝
(5) その他市民の信頼を回復するために必要と認められる措置
3 議会運営委員会の発案により、本会議に諮って行う措置
(1) 審査対象議員に対する出席停止勧告
(2) 審査対象議員に対する辞職勧告
4 議長は、前2項の措置を決定した場合は、その結果を公表することができる。
(議長の職務の代行)
第12条 議長が審査対象議員となったときには副議長が、議長及び副議長がともに審査対象議員となったときには議会運営委員長、議会運営委員副委員長、年長議員の順で、この条例による議長の職務を行うものとする。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、議会運営委員会で定める。
附 則
1この条例は、平成25年4月1日から施行する。
2この条例の施行に際し、議員が条例第4条に定める団体等の代表となっているときには、遅くとも各団体の次期改選時までには、代表を辞退しなければならない。

以下第2案

可児市議会議員政治倫理規程(第2案)

(目的)
第1条 この規程は、可児市議会基本条例第15条に基づき、可児市議会議員(以下「議員」という。)の政治倫理に関する規律の基本となることを定めることにより、議員の政治倫理の意識の確立に努め、もって市民に信頼される公正かつ民主的な市政の発展に資することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は、市民の信頼に値する高い倫理的義務に徹し、市民の非難を受けないよう政治倫理の向上に努めなければならない。
2 議員は、政治倫理に反する事実がある場合には、責任を明らかにするよう努めなければならない。
(政治倫理基準)
第3条 議員は次に掲げる政治倫理基準を尊重しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として、品位と名誉を損なう行為により、市民の議会に対する信頼を損ねないこと。
(2) 常に市民全体の利益の実現を目指して行動し、特定の利益の実現を求めて市民全体の利益を損なわないこと。
(3) 市が行なう許可、認可又は請負その他の契約に関し、特定の個人、企業、団体等に対して有利又は不利となる働きかけをしないこと。
(4) 市職員の公正な職務執行を妨げ、その権限又は地位による影響力を不正に行使するような働きかけをしないこと。
(5) 政治活動に関し、政治的又は道議的批判を受けるおそれのある寄付等を受けないこと。
(6) 市から補助金等の交付を受ける法人その他の団体の代表になってはならないこと。
(7) 前号に揚げるもののほか、議員としてその品位と名誉を損なう一切の行為をしないこと。
付則
この規程は、平成25年4月1日から施行する。

「政治家は選挙で当選すれば何をやってもいい」的な考え方と相容れるところは一切ありませんが、第1案をこれ以上簡素化することも受け入れられません。
 それぞれが議案上程をし、議員同士が本会議場で堂々と議論することこそ議会基本条例の真髄であると思います。

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