国では議員定数の削減が取り沙汰されています。どれぐらいの数の議員が必要かは意見が分かれるところですが、現時点で岐阜県内では小選挙区で5人、衆議院比例で2人、参議院4人(次回改選時から1人ずつ減で2人に変更)の計11人の国会議員がいますが、確かにこれほどの数が要るかは議論の余地があると思います。
一方地方議会では、合併が進んだこともありその数は大幅に減となりましたが、まだまだ市民が納得している現状にはありません。今後は可児市議会でも議員の定数・報酬について調査研究を進め、その根拠づけを急ぐとともに市民の理解を得なければなりません。
定数と報酬について北海学園大学教授・森啓先生は以下のように述べられています。
1)議員定数を減らすことに住民が直ちに賛成するのは、議会を信頼していないからです。議会はあってもなくても同じだと考えているからです。
2)なすべきは議会の活力を高める改革です。議会への信頼の回復です。議員定数を減らしても議会への信頼は回復しません
3)議員数をへらしても、交代してもらいたいと多くの人が思っている「旧来型のどうしようもない議員は」当選して出てきます。定数減で消えるのはまちづくりに必要な議員です。
4)経費節減すべきは不要不急の事業です。行政のスクラップです。…議会の改革の本当の問題は議員が交代することです。交代できる条件を整えることです
また山梨学院大学教授・’江藤俊昭先生は以下のように述べられています。
1)行政改革の波の中で、議会も同様な理論での改革が必要だと考えている人たちも多い。こうした人たちに迎合して、いまやさかんに議員定数の削減や報酬の削減が進められている。…それぞれの議会にとって必要な定数はどれくらいか…といった論点を明確にしないまま削減競争に走る姿はむしろ議会の自殺行為に思えてならない。
2)従来は、議会は多様な意見を吸収し、様々な視点から議論する場であるがゆえに、「相当」の人数が必要であるという理解もある。しかし、多様な意見の集約は、いまや住民参加でも十分可能であるし・・・
3)首長サイドのパワーセンターと並ぶもう一つのパワーセンターを成立させるためには、討議できる人数が必要となる。
4)試案として提示すると、本会議中心主義の議会では、6-10人程度、委員会中心主義の議会では6-10人×常任委員会数、したがって3常任委員会だとすれば、18-30人ぐらいが妥当となろう。
5)最後に地方分権改革で議会の権限、役割が拡大したことを認識すべき。議員定数は、単なる経費節減の面からでなく、地方分権時代に対応した議会の役割、議会蓮営のあり方をトータルに検討する中で、議員報酬等も含めて住民とともに考えていくべき。
議員定数減少メリット
○意見がまとめやすく、従って、議事が簡潔に効率的に進められる。
○減少した議員数で議会運営がなされており、むしろ審議時間が短くなり効率的な運営ができる。
○議員定数を減らせば、選挙において従前より多くの支持を必要とすることになり、それだけ広域的なものの考え方をするようになる。
○議員定数を削減すれば、経費節減になる。
○行革として、執行機関も経費節減をしているのだから、議会も行革の一環として減少すべきである。
議員定数減少デメリット
○議会は地方公共団体の意思決定機関であり、議員定数を減らす議論よりも、むしろ議員の質をいかにして高め、民意の反映をどうするかの議論のほうが大切である。
○住民を代表して審議決定するのだから、全住民を代表するにふさわしい数が必要である。従って、少数精鋭よりもむしろ多数精鋭であるべきである。
○少数では、行政との「馴れ合い」問題が起きやすくなる。
○議員定数減少による経費の削減と議会の監視機能、住民意思の反映等の両面を比較検討すべきである。
○歴史的にも権限的にも、さらに住民の自治意識の点においても異なっている諸外国の議員定数を持ち出して、単純に議員定数を比較することは、はなはだ危険な発想である。
○安易な減少は常任委員会活動を沈滞させ、議会審議を空洞化させる。
○少数では、質疑、質問もほとんどなく、議会としての役割を果たし得ない。
○議員定数を削減すれば、現職議員の強みが増し、若年層、女性の進出が難しくなる。各界各層の議員構成にはならず、議会が停滞する原因にもなる。
メリット・デメリットは以上のようなことが考えられるとされています。どちらにしても決める権限は議会にあるわけで、その結論を見誤らないように市民の意見にしっかりと耳を傾ける事が必要です。
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