ひまわりのたね通信

柏市の行政視察報告

 ここのところほぼ休みなく昼夜に予定が入り少々バテ気味ですが、忙しい合間を縫って視察報告を作成しました。私の担当は柏市です。

柏市における長寿社会のまちづくり〜豊四季台プロジェクト〜について

考察
柏市豊四季台はUR都市機構によって1964年に整備された敷地面積32.6haの大型団地で、人口約1万人、103棟4,666戸オール5階建てでエレベーターのない団地として整備された。現在は人口約6千人で高齢化率が40%超える地域となったため、豊四季台団地建替え事業が始まった。まちづくりの考え方として、高齢者と子育て世代が融合するまちづくりのための在宅医療、福祉施設導入と子育て支援施設の拡充、住民交流の場となる地域拠点ゾーンの整備、優れた住環境づくりを先導する景観形成と低炭素まちづくりへの取組みを進めている。具体的には住宅のバリアフリー化、地域福祉拠点整備によるサービスの提供、高齢者向け住宅・施設への住替え支援に取り組んでいる。
大都市部の高齢化が問題となっている現状で豊四季台団地を再生させるべく、柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会を発足し、市と東京大学、UR都市機構の3者で議論し高齢社会の安心で豊かな暮らし方まちのあり方を模索し、「いつまでも在宅で安心して生活できるまち〜在宅医療の普及〜」「いつまでも元気で活躍できるまち〜高齢者の生きがい就労の創成〜」を研究会が目指す街の姿とした。
そこで在宅医療の体制整備が行われ、市と医師会がタイアップし多職種を巻き込んだ関係作りが行われ市民の意識啓発を行った。同時に在宅医療の負担を軽減するためのバックアップ体制の構築を行い、主治医・副主治医制や退院時の病院との情報共有や在宅中の急性憎悪時における病院のバックアップ体制の確保を行った。また、在宅医療研修を多職種団体からの推薦で行ったり、看護師復職フェアーや訪問看護フォーラム、連携課題を協議し、顔の見える関係を作る会議を行うなどして情報を共有することのできる会議やシステムを構築している。
市民への啓発活動では、市民説明会・意見交換会、在宅ケア市民集会を行うとともに在宅医療情報誌「わがや」を全戸配布するなど積極的に取り組んでいる。
平成26年初頭には地域包括ケアのモデル拠点の整備として、豊四季台団地にサービス付高齢者向け住宅(介護棟・自立棟)、子育て支援施設、地域交流スペース、地域包括支援センター、薬局、主治医診療所、在宅療養支援診療所、24H訪問看護ステーション、24H訪問介護ステーション、グループホーム、小規模多機能等をオープンさせる予定である。

 高齢者の生きがい就労では、現在5領域6事業を開拓し現在185名が就労しており、個人の心身の健康維持に寄与するとともに地域社会の課題解決にも繋がっている。
 可児市においては、先ず地域医療の体制整備をする必要がある。中核病院の医師確保と地域医療連携の確立を行うことが先決だ。行政がコーディネイター役となり病診連携を推進し、その後在宅医療に対する仕組み作りをする必要がある。介護においても施設介護には限界があり、在宅で家族が無理なく介護できる仕組みを作ることが先決である。24H訪問看護ステーション、24H訪問介護ステーションの設置と医師会の協力、市民への医療や介護に対する理解と在宅医療・介護の重要性を認識してもらう施策が必要だ。人口減少と少子高齢化が同時に進む可児市では、高齢者に対する過度な行政サービスは控える時期となってきた。柏市のようにURによる多額の資金を投入しての団地再生や施設建設は期待できないが、箱モノを持たずに既存の施設を有効利用した仕組み作りは可能であるため、今後はその体制作りが急務である。

       
       新しく建て替わった集合住宅

       
         建設中の拠点施設

       
    建設中の高齢者向介護サービス付き多機能住宅

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