年末年始の慌ただしさから解放され、少しほっとしています。新年会まわりもあと少し。ほっとしたところで、今年は、時事考察不定期に掲載していきたいと思います。思いつたことなどを自分の主観で発信していきます。
先ずは第1号「日本版CCRC」についてです。
「首都圏から地方へ」国内移住の様相が2016年に大きく変わることを期待し、国は地方創生の具体策として「日本版CCRC(CCRCは、健康時から介護時まで継続的ケアを提供するコミュニティであり、全米で約2千ヵ所、居住者約70万人、約3兆円という市場規模を誇るContinuing Care Retirement Community)」を提唱し、その実現を目指しています。都市部の高齢者が健康なうちに地方に移り住み、地域共同体をつくるというものですが、果たしてそんな簡単に地方移住が進むのか大きな疑問が浮かび上がります。政府は「新型交付金」を新設し、2016年度当初予算案に1000億円計上しました。補助金をエサに地方自治体を釣りあげる準備に入ったようですが、そこには健康ではない高齢者の地方移住も含まれています。介護施設や職員不足に直面する都市部の自治体が地方に介護施設等を整備する施策に踏み出したからで、結果的に要介護の高齢者を地方に移住させることになります。
名乗りをあげる自治体も見受けられるようですが、こんな政策がうまく行くとは思えません。表現を変えれば「生産能力が低い高齢者は地方へ、生産能力の高い若者は都市部へ吸い上げる」そのために都市部(首都圏)は、若い世代が魅力を感じるまちを作るため、地方分権よりも中央集権を強化する考えが透けて見えます。特に経済の一極集中は首都圏に魅力ある雇用の場を創出し続け、地方衰退の大きな要因となり続けると考えられます。
処方箋もない消滅可能性都市の公表で未だ立ち直れない地方自治体に、今度は補助金をエサに日本版CCRC受入れを求める政府機関である日本創成会議の手法には地方議員として賛同できません。
地方自治体は地方の魅力や郷土への愛着を軸とした情操教育や地域で行う社会教育を今一度見直し、地域経済の支えとなる若い世代を育てることこそ今一番大切なことではないでしょうか。今年度公表された地方自治体の総合戦略は、金太郎飴のごとくで、この戦略で地方が変化するとはとても思えません。また、今のままの国の体制では、東京一極集中の是正は成しえないでしょう。最終的には、道州制の導入を見据えた大きなガバナンスの構造改革を進めるべき時にあると私は思います。何はともあれ、先ず地方議会がその役割をしっかり果たすことが最優先課題です。
最後に公表されている論文の中にこのような一節がありました。
「移住者が最も重視することは、カネやモノではなく、その地域に住んでいる人たちであるからだ。明るく楽しく暮らしているかどうか、そして、魅力的な住民がいるかどうか。移住者は面白くて魅力的な人がたくさん住む風通しの良い地域に、まるで吸い寄せられるように集まってくる」
強く共感する一節ですね。
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