ひまわりのたね通信

7・15災害における鷲見哲也先生の見解

 この災害の発生時から調査分析をされ、自身のブログにて情報を発信してみえます。昨日のブログを転載します。


ーーー この事故と河川整備の関係.

私は今回の事故を契機として,巨大なお金を使っての河川改修,例えば全面的な河床掘削の対象とすることには反対である.

その一方で,河床掘削なしに低い氾濫原との境界に築堤するだけ,というわけにはいかず,断面確保の点から河道の拡幅しか方法はない.用地取得や橋の架け替えも必要になり,やはり莫大なお金と時間が必要になる.これをすぐに行うことも難しいだろうし,他河川とのバランスを考えても,私はこの方法にも反対だ.

理想的には,今回の低い段丘面に遊水地的に氾濫を許すことだと思う.
アンダーパスは,道路建設と管理の在り方の問題に集約した方がよいとおもう.

農地の期待被害リスクに見合った保証は必要かもしれないが,
農地耕作を許す氾濫原(遊水地)として維持するのがよいと思う.

個人的にはそう思うが,他の選択肢も含め,
直近の河川整備につなげるべきかどうかは,リスクの計算も含め,一度しっかり考える必要がある.

しかし,被災があると,結局河川改修ということになりそうな気がする.
これはちょっと懸念されることだと思う.

ーーー  上下流問題.

しかも上流は今回破堤があった.
これがなかったとすると,狭窄部上流部での氾濫水深はもっと上昇したかもしれない.
つまり,上流の河道の防御がよくなれば,下流に負担がかかる.
このことは,再度災対応のときに見逃されがちだ.

ーーー 被害が起こるまでの要素.
(1)トリガーとしての,雨は,どれくらいの確率的に稀な外力か.(誘因)

(2)河道の処理能力(流量→水位変換特性)はどの程度のものだったか.(素因)
 (河床断面は十分か,勾配は?,阻害になるモノはないか?)

(3)氾濫したとして,その氾濫原には,何があるのか.(前提条件付きの素因)
 (人が張り付いていないか=住居は,交通はあるのか,浮いて流れるモノはあるのか)

(4)その「もしも」に対応できる仕組みが整備され,機能していたか(条件付きの素因)
 (人や交通に警告し,退避したり,侵入を回避するしくみが機能するか)

多くの要素があるが,(1)誘因は避けられない.
しかし,その誘因の起こりやすさは変わってきている.
それを知ることは重要だ.

それ以外の素因については,どこで対応することにするのか,
今回(3)(4)の方の優先順位が高いはずである.
これを無視して(2)でなんとかせよ,ということになるのだろうか.

広見の破堤の方は,住居集落がある前提を見ると,考える余地があると思う.

それなりの整理がなされることを祈ろう.

自分も,できるところまでは,見て見ようとおもう.

鷲見先生のプロフィール
鷲見哲也〔すみ・てつや〕 大同工業大学 工学部 都市環境デザイン学科 准教授 博士(工学) 《プロフィール》専門:流域水文学、河川工学 名古屋大学大学院博士後期課程修了 名古屋大学大学院講師等を経て現職 流域水文現象や河川環境の研究を行う一方で、2000年東海豪雨災害調査を機に災害研究に携わる。 2008年8月末豪雨では現地調査を行った。 流出・氾濫解析に限らず、近年は都市コンパクト化や資産リスクとの関係についても調査研究を進める。

 落ち着いたら是非一度会ってみたいと思います。今は足元の災害対応に集中します。

コメント

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  3. Tres juste. On se rend vite compte que ce genre de critique emane de gens qui ne comprennent ni le media, ni son utilisation. On se protege de qu’on ne connait pas en fait.

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  5. No danger of it overwriting anything. No you can’t back-up the data as it’s tied to the SD Card.

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